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アニメや映画の感想を綴ります。

【サムライチャンプルー】ムゲンとフウの恋愛

サムライチャンプルー、15年前とは思えない作品です。私は元々、刀で戦う和物アニメが好きでして、犬夜叉銀魂を小学生〜高校生まで見ていました。そして10年以上の時を経て、最近サムライチャンプルーを視聴。第一印象は、殺陣最高。鍔迫り合いをして戦う事があまり無く、主人公のムゲンの出鱈目喧嘩剣法が見ていて面白い。

初めて見た時はただただ戦闘シーンにばかり集中していたので肝心のストーリーは重視しておらず、「ムゲンはフウを妹の様に大事にしていてる、兄妹みたいな関係」だと思っていたのですが…。

でも「それ」とは違う「何か」を感じました。何度か見ていくうちに気付いたのです、ムゲンとフウには何かがある。渡辺監督の作品には三角関係が織り込まれているとの事で、サムライチャンプルーはムゲン、ジン、フウ3人の恋愛要素を含めた旅物語だと。

サムライチャンプルーの考察ブログ等を見てみるとムゲン←フウ←ジンの一方通行だとか、フウの片想いだという記事をよく見かけましたが…。

私にはフウの一方通行では無く、寧ろムゲンがフウ寄り(ムゲン→フウ)に思えました。

この記事ではその理由を説明します。
既にお気付きの方も居るかと思います。
ムゲンからフウへの気持ち、沢山あります。


⚠️めちゃくちゃ長いです!

 

•第1話
最後のシーン、役人に追われて3人揃って逃げるシーンでフウの下駄の鼻緒が切れます。しかし2話でフウは1話と同じ下駄を履いている。森で出会った蛍という女の下駄の鼻緒も切れていて、ムゲンが直し、タダとは言ってないと見返りを求めます。ここのシーンから、フウの下駄を直したのは恐らくムゲンであろうと推測されます。

 

•第2話
ムゲンは酒に酔って寝たフウに恐ろしい事を言います。(中井ボイスであの台詞を言われてみたいと思った女性は私だけではない筈です。)

はい、妹みたいに思って居る女の子に対して普通あんな事を言えるでしょうか…しかも出会ったばかり。

この台詞から、ムゲンはフウを子供扱いしていません。江戸時代の15歳は成人と見なします。ムゲンはフウの事を色気の無い女と言っただけでガキだの何だのと馬鹿にした事はありません。
ムゲンは20歳で5歳の差はありますが、フウを女として見ています。でもムゲンは結局無防備なフウに手を出しませんでした…。(何故手を出さなかったのか?)
「あんたの連れの娘、今頃…」と言われるとムゲンは血相を変えて出て行きます。恐ろしい事をされているのではないか。毒が回った体にも関わらず、フウの安否を確認しに行き、解毒剤の入手よりもフウの奪還を優先しています。

 

•第4話
ヤクザの用心棒を辞めて1人、町を出たムゲンの頭にフウの顔が浮かんでフウを探しに女郎屋へ戻るムゲン。しかしフウは自力で逃げた後で、後に賭場で再会します。フウを助けに来たなどと勿論言える訳もありません。「追っ手が来ねえからこっちから来てやった」ツンデレ。人質なんかお構い無しで好き勝手に暴れます。伏線です。


•第5話
夜になっても戻って来ないフウをムゲンは「アイツは?どうでもいいけどな」と言いつつ気にかけていて、結局朝になっても戻らないフウを探しに浮世絵師の屋敷を物色します。絵描きさんに「コイツはどこ行った?」とフウの絵を見せながら問い、南蛮に売られそうになるフウを取り戻しに走り回ります。

 

•第7話
スリを探してチンピラをボコボコにするムゲンを見るや、関係ない人を虐待しちゃダメと言いフウはムゲンの首根っ子を掴み止めさせます。ムゲンは大人しく引き摺られています(笑)
フウと共に立て篭る新輔を見た途端に建物に突入するムゲンですが、新輔を逃してくれと言われるとムゲンはフウの言う通り、手足を使い役人を食い止めています。(何故フウの言う事は聞くのか?)


•第8話
永光にナンパされるフウを気にせず食事をするムゲン。逆ナンされたムゲンは何故かジンを連れて行き、フウは置いてけ堀です。(ムゲンは何故わざわざジンを連れて行くのか?)「男は馬鹿だから尻に敷け。」


•第10話
瑞光さんに寺の掃除を頼まれます。ムゲンはこき使いやがってとキレそうになりますがフウが止めると大人しくなります。辻斬りを倒せば10両が手に入ると知るとムゲンは辻斬りを探しに行きます。(賞金よりもムゲンは辻斬りと戦いだけですが。)自分の後をついて来るフウに、特に何も言いません。
満月の夜、昇竜に傷付けられたムゲンの右手を取り心配するフウ。伏線です。しかしムゲンは咄嗟に手を離します。そしてムゲンの自主トレを見守るフウとジン。ムゲンが昇竜との約束の日に戦いに行く時にフウは彼の背中に切火をしています。「女房気取りかよ、てめーは。」


•第11話
真面目にバイトしないムゲンにフウは真面目に働け!とドヤします。そして2人一緒に賭場に行き、鍛えたロドリゲスは見事勝利。ムゲンはかっこいいところを見せたかったのかもしれません(笑)お金を手にしますがフウは貯金するからと言ってムゲンからお金を取り上げます。口喧しい女房の尻に敷かれた亭主と言ったところでしょうか、まさしく夫婦の様なやり取りが行われています。
シノさんは亭主から乱暴にお金を巻き上げられています…。この2組は対照的に描かれています。
ジンにお金を貸したムゲンはフウと宿に残ったまま、珍しく女郎屋には行きませんでした。

 

・私は着痩せするタイプだと言うフウに、ムゲンはじゃあ見せろと言います。フウの体に興味を持っています。女郎屋に行くジンに、ムゲンはヤキモチかとフウに言う。
フウは「ジンは私のタイプじゃない。」と返しますがムゲンは寝ていて聞いていませんでした。シノさんに本気で惚れたのか?駆け落ちするんじゃないかと気にしてばかり。ジンとフウの会話をムゲンは起きていて聞いています。微妙な表情。伏線です。「お前あいつと絶交つってたじゃねーかよ!」

 

•第12話
向日葵侍の事を探るべく、ムゲンは入浴中のフウの風呂に忍び込み、日記を盗みます。
フウの日記「ムゲンよりもジンの方が良い男。」はあ?!「ムゲンがなかなか戻って来ないからジンと過ごした。ジンとこんなに長い時間2人で過ごしたのは初めて。」は?これらについてムゲンは何故か反応している。
フウの日記「ムゲンの事は信用しない!」
ムゲン「上等だ。てめーなんかに信じて貰わなくても結構だよ。」この台詞は25話への伏線です、覚えておいて下さい。


•第13話
嬉しそうに海ではしゃぐフウを見るムゲン。(琉球の海には良い思い出は無いだろうが、海ではしゃぐフウ見て絶対可愛いと思ってたろ。)
ジンとフウついてムクロはムゲンに尋ねるが、ムゲンははっきりと言います。「仲間なんかじゃねえ。長崎に行くまで守ってやるだけの約束だ。」ジンはムゲンの警護を必要としていないので完全にフウだけを指しています。フウとコザは驚いた顔をしている。
ムクロは笑う。「お前が人を守るなんてとんでもねえ話だ。こいつが今までどれだけの奴を殺してきたか知ってるか?」ムゲンの表情は前髪で隠れて見えません。ムゲンが自分の過去を語らないのは、知られたくなかったのでは、と私は考えました。(この3人は自分の事をベラベラ喋るタイプでは無いですけどね。)

 

•第14話
ムクロに騙されて海底に沈んでいくムゲンは走馬灯を見る。意識を失う直前に最後に思い出したのはフウです。岸に打ち上げられたムゲンをフウは見つけて小屋で介抱します。ここでのムゲンは裸です。立ち上がり、どこかへ行こうとするフウの手首をムゲンは掴みます。ムゲンはフウには滅多に触れません…そして腹減った…と呟く。


•第15話
釣った魚を食べながらムゲンとフウは楽しそうに笑う。こんなに笑ってる2人を見るのは初めてです。そして偽金を持ったまま、またムゲンはジンを連れて遊郭へ行く。何故か?


•第16話
向日葵侍の事を語らないフウにムゲンは酷いことを言います。
「お前を手籠にして捨てた男。」この台詞も伏線です。結果、山で3人で喧嘩。(ジンは悪くない)バラバラの道を行き、ムゲンは1人寝っ転がって満月を見ます。右手を顔の上に持っていき、「あんにゃろう」と呟く。英語版の字幕ではthat little bitchとなっていました。この台詞は、自分の左頬を矢で傷付けてきたオクルさんではなくて、フウを指しています。ムゲンはフウを名前で呼びません。10話でフウに触れられていたのも右手です。清々したぜと言いつつ、離れていてもムゲンはフウの事を考えています。

 

•第18話
フウを賭けた落書き勝負でムゲンは優勝します。覚えた文字を使いたかっただけかもしれないが、結果的にフウを双子に渡さなかった。が、真の賞品はモモさんでした。(ムゲンはこの事は知りませんでした笑)
ムゲンはフウやジンの持ち物に彼らの名前を書きます。(フウの名前を知らない訳ではないのに何故ムゲンはフウの名を口にしないのか?)


•第19話
またしてもムゲンは向日葵侍についてフウに問います。「私の父親。」ムゲンとジンはハッとしますがその後、ムゲンだけ頭を下に向けて歩きます。16話で父親だと知らず、向日葵侍について酷い言い方をしてしまった事への罪悪感…。

 

•第20話
ここでもムゲンは自分が席を移動してまでジンをサラの隣に寄越していている。フウは端っこで一人。
ムゲンはお風呂に入っているサラにちょっかいを出そうとしに行きますが、すぐに気付かれてしまいます。12話で、入浴中のフウの風呂に忍び込みますが、ムゲンはフウにはそんな事はしませんでした。
サラにムゲンはどんな顔かと聞かれてゴリラみたいな人間以下!とフウは返しますが、その後ムゲンの顔を見て謝ります。悪口を言った事への「ごめんなさい。」
お祭りの時、サラに自分の息子におもちゃを選んでくれと言われますが、ムゲンは困ってしまいフウを呼びつけます。
しかしフウは走ってどこかへ行ってしまう。追いかけたのはジンです。「何でもないよ、なんか、ごめん。」(ここのフウの涙は本当はムゲンに追いかけて来て欲しかったのか?)

ムゲンが本気でサラが好きなのではないかとフウは勘違いしています。
ムゲンは屋台の食べ物に執着しているのでサラを見失う。「サラ?」ムゲンはサラの名を呼びますが、刺客だとわかった途端すぐに「あの女」呼びに変わります。
「あんたと一緒じゃ危なっかしくてしょうがない。ジンはそんな事しない。」図星を突かれたムゲンはそれ以上何も言えずに黙ります。はい。下心見え見えです。
「美味い飯食えんのも今日で終わりかよ。」
ムゲンはサラとの別れが寂しいというより、サラが居ればご飯が食べれるので食にありつけなくなる虚しさと言ったところでしょうか。(花より団子)
ムゲンはサラに最後まで手を出せずに居たので「まだ何もしてねえのに」と言っています。

そしてジンがあっさりサラと行ってしまい泣き出すフウに、「俺だってあっちが良かった!」と言ってはいるが、ムゲンはジン達とは別の方向に歩き始める。カッとなって出た言葉であり、本心ではありません。
ムゲンが本気でサラの方が良いと思っているならフウを見捨てて行ってしまうでしょう。
フウがジンの事ばかり気にするので…。


•第21話
ジンが戻って来るのではとグズグズするフウにムゲンは言います。「ふざけた事ばっかり言ってんのはどっちだよ。」なんだか声色が怒っているような、イライラした感じに聞こえます。
ムゲンはジンを探しに川へ行ったつもりがサラの「商売道具」を見つけてしまう。
サラの意識が戻ったよとフウに言われてもムゲンは喜んでいる様子ではありません。
河原で待ってると喧嘩を売られた上、薄々と感づいていたものの、ここでムゲンはサラの正体とジンの真相に気付き静かにブチ切れます。サラを敵と認識する。

腹は裂かれ、心の内は読まれ、ムゲンはサラに「誰にも愛された事がないみたい」と突きつけられます。そして、そこが私と似ていると。圧倒的な実力差。とどめを刺されそうになる絶体絶命のムゲンを救ったのは捨身のフウでした。ここで決定的にサラとムゲンは違う。
ムゲンはフウに愛されています。少なくともフウにとってムゲンは居なくなって欲しくない、死んで欲しくない存在。それは、フウはムゲンを単なる用心棒とは思っていないから庇うという行為が出来たんだと思います。ムゲンのあの驚いた顔は彼の心に何かが届いたようでした。自分の身も顧みず、人を庇うという行為へのカルチャーショックと同時にその行為が自分の為に行われた事への驚きか。更にはフウにとって自分がそうされる価値のある存在であることへの感動、といったところでしょうか。

 

・話が逸れて申し訳無いですが、余談として。
ムゲンはサラを殺したくなかったとか、ムゲンはサラに惚れていると解釈してる人が居るようですが、それは全くの見当違いです。ムゲンは自分より強い奴が居たら相手が誰であろうと斬らなきゃ気が済まない好戦的な性格です。相手が強い程燃えるタイプ。それが自分達の命を狙って来るなら尚更容赦しません。ムゲンはそんなに甘くない。

サラを気に入ったと言ったりくっついたりしていたのは単なる下心です。ちょっかいを出そうとお風呂に侵入したつもりが彼女の隙の無さに気付いた。
女はどうした?と問うジンにムゲンは「とんでも無え凄腕だよ。」とがっちりと抉られたお腹を見せて評している。
「もうやめようよ、あんたまで居なくなったら私…。」というフウの話をムゲンは逸らします。「あの女、隙も無えが、殺気も無えんだ。今度こそマジで死ぬかもしんねえ。」サラを倒したいという戦闘狂としてのムゲンの血が騒いでるようですが、ムゲンの動きはサラに読まれている。

 

「お前にそれしか道がねえなら全部引き受けてやるよ。」どこかでこの台詞が究極の口説き文句だというのを見ましたが、決してロマンチックな台詞でも無ければ口説いてる訳でもありません。お前が子供の為に戦うしか道が無いのなら俺がお前を殺しても、その無念は引き受けてやるよ、位の勢いの言葉でしょう。ムゲンはサラに恋愛感情は抱いていません。彼なりの優しさですが、「受けて立つ」とか「俺はお前を殺す。」と言ってるような意味です。フウには今度こそ死ぬかもと言っておきながらも、ムゲンは死にに行くつもりはありません。

 

公儀という第三者の介入により、真剣な命のやり取りがあの様な結末を迎えてしまった。サラの実力を知った上で戦いに臨んだが、サラは息子が死んでいて既に戦意喪失。勝利したとは言えない勝ちを譲られたムゲンは怒りを込めて槍をぶん投げました。強敵相手に不完全燃焼。勝たされた。情けの勝利。
ムゲンは命のやり取りに関しては完全に弱肉強食主義なので、勝ちを譲られるなんてとんでもない。ある意味でサラは救われたのかもしれないが、結局ムゲンもジンもサラには敵いませんでした。


•第22話
フウの悲鳴を聞いてすっ飛んでくるムゲンとジンですが、ムゲンはジンより素早く刀を抜き、相手の腕を切り落としました。


•第24話
焚き火のシーン。どこか寂しそうなフウにムゲンは言う。「でもよ、島に行っても向日葵侍に会えるとは限んねえだろ。」この台詞は、ムゲンは旅を続けたそうに聞こえます。
「別に秘密なんかねえよ、まあ、昔っから悪さはしてたけどよ。あと乳のでかい女が好みだとか…。」

「秘密なんかない。」

 

河原のシーン。ジン「向日葵の侍に会った後、どうするつもりだ?もし、私が…」

フウ「そうだよね、考えなくちゃいけないんだよね。なんか、そんな事考えたく無くて…だって、ムゲンのやつが…ごめん、ごめんね。」

ここのシーンは色々と解釈できますが、いずれにしてもフウの意識はムゲンに向いています。ジンの胸で泣き、フウの肩を寄せるジン。2人の様子を遠くから見つめるムゲン。また微妙な表情をしている。2人の会話は聞こえていません。11話では2人の会話を聞いているが、今回は見つめている。

翌日、ムゲンもジンも何も知らない様にしていますが黙ったまま…そして食事をする3人。ここで注目して欲しいのは、今まで食事の時はジンの隣か1人で座っていたのに、しゃぶしゃぶを食べるシーンでムゲンは初めてフウの隣に座っています。
かすて〜らのお使いを頼む時もフウはムゲンに財布を託しています。
ムゲンとジンはきちんと3人分かすて〜らを買って来ます。買い物から戻って来た時にはフウは居ない。別れの手紙に、斬り合いって欲しくないと書いてあったがフウの言う事も、約束を守る必要も無い。斬り合うなり解散するなり好きにすれば良いのに2人は船着場から離れません。ムゲンはフウの分のかすて〜らも食べています。

 

•第25話
島に来いと言われ迷うムゲンはジンを見ます。「てめーが行けよ!」何故迷ったのか?昨夜のジンとフウを見たムゲンは2人を完全に誤解しているからです。迷うムゲンにジンは言う。「フウを頼む。」ムゲンは一瞬迷いながらもすぐに自分が何をすべきか理解します。
船に乗るムゲンを見ながらジンは微笑みます。ジンに促されたもののムゲンは島へ急ぐ。目は口程にものを言うと言いますが、島へ向かうムゲンの眼光が物語っているように思えます。
船上の戦いで左手を負傷し泳いで島に渡ったムゲンは既に疲労困憊です。それでも足は止まりません。
島に来たムゲンの第一声が、やめろでも放せでもなく「そいつを返してもらうぜ。」フウを助ける為にムゲンは自ら刀を捨てます。切り札があるとは言えほぼ丸腰です。

自ら不利な立場を選んだ。そして自分を気にかけるフウにムゲンは言います。
「死にゃしねえ。俺を信じろ。」ムゲンは誰も信じず、自分だけを信じて生きて来ました。しかしムゲンはフウに自分の事を信じて欲しいと思っている。この言葉は、口下手で不器用なムゲンからフウに対する最大の愛情表現だと思う。
「女の為に命を捨てるなんて泣かせるね〜。」馬之助は「仲間の為に」ではなく「女の為に」と言っています。煽られるムゲンは珍しく言い返しません。無言の肯定。いつもの彼なら間違いなく挑発に乗っています。

1話で、茶屋でフウを襲ったチンピラに対し、ムゲンは安い命だなと言っていました。それが今度は自分の事の様に、フウの命が助かるなら安いもんだ、位にあっさりと刀を手放した。4話で人質など気にしなかったムゲンが、25話ではどうでしょうか。

ムゲンが、自分がただのフウの用心棒と思っているだけではこのような事が出来るとは思えない。

フウをただの旅の仲間だと思っているだけではこのような台詞が言えるとは思えない。

「秘密なんかねえよ。」ムゲンはフウに特別な感情所謂、恋愛感情を抱いている。だから島へ渡り、この一連の行為が出来た。向日葵侍に会わせる為とはいえ、ムゲンのこのような意外な行動と言葉には、フウへの揺るぎない愛を感じた瞬間でした。
昨夜の2人を見ているので、もしムゲンがフウに対して恋愛感情が無ければジンを島へ行かせていたでしょう。ジンの頼みだけで動いたとは思えません。

刀一本で生きてきた彼が、その刀も命も投げ捨てても構わないと思う程、ムゲンにとってフウは誰よりも特別な女なのだと思わせられる。フウを逃した後もムゲンは馬之助に痛め続けられます。


•最終話
爆心に居たムゲンは今度こそ潮時かもしれない…と、あっちの世界へ連れて行かれそうになりますが、フウに呼び戻されます。意識を取り戻して最初に見たのはフウでした。
「馬鹿野郎。」(泣くなと言いたかったのか?ムゲンはフウが泣くのは嫌みたいです。)
フウとの約束を果たした次はムゲンとジンの決闘です。2人の刀が交えた瞬間、2本の刃は折れます。折れる様にわざと刃を合わせたか、偶然か。いずれにしても結果的に、斬り合って欲しくないというフウの願いをムゲンとジンは叶えています。
「実はあれ、表だったんだ。」あの時、小銭を投げたのはムゲンなのに悔しがったり怒ったりはしませんでした。
別れの時、先に歩き出したフウの背中を2人は見つめます。気付きにくいですが、ここでムゲンはジンよりも少しだけ長くフウを見ています。ムゲンは最後の最後までフウを気にしています。それぞれの道を行くカットでムゲンとフウは正面、左向き、海、人とすれ違っている。ジンは真逆でこの2人は同じです。

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強い女は好みだぜ。

ヤツハに頭をかち割られてましたけど、4話でフウも変態オヤジに同じ事をしていますね。そしてコザは男に依存しがちだが、フウは精神的に自立していている。絵描きさんを引っ叩いたり、役人の指に噛み付いたり、下駄でぶん殴るなど戦いは出来ないがムゲンを言い負かしたり喧嘩は出来る。度胸はあるし、肉体的にも精神的にも気も強い。
まさしくムゲンの好みはフウなのです。乳がでかい女が好き…好きなタイプと実際に好きになるタイプが違う。フウの見た目はムゲンの理想とは程遠いが、ムゲンはフウの内面に惹かれています。
そしてコザやムクロ、サラと居た時のムゲンは暗いだけですが、フウと居る時のムゲンはよく笑います!
フウはムゲンを明るく、笑ったり怒ったり人間らしくさせます*^U^*

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言葉より行動で。
ムゲンはフウの名前を一度も呼びませんでした。それは他の者とは違う特別感からくるものであり、決してフウが嫌いだからではありません。(※ゲームでは、ムゲンはジンとフウが居ない所でフウの名を口に出していました。本人の居ない所では呼べるみたいです…。)口ではどうでも良いと言いつつも、いつもフウを気にかけて助けに走り回る。
ムゲンのフウに対する扱い方や想いが他の女とは違うのは明白です。わかりにくい愛情表現ですが、小学生の男の子が好きな女の子には意地悪したり無視したり自分の気持ちとは真逆の行動をする心理と同じようなものです。

「向日葵侍を探す気もないし、お前が可愛いなんてあり得ないし、お前と一緒に居たいと思った事なんか、これっぽっちもねえ!一緒に居たのは、たまたまのたまたまだ!」…(笑)

 

ムゲンはフウには気安く触る事が出来ない。彼はフウに対しては下心が全く無く、ただの性欲処理の相手ではないからです。性の対象以外の異性に触られる事に慣れていない。だからフウに触られた手を咄嗟に離した。女として興味はあるが大事な存在故に手出しが出来ないのです。14話や19話の様に、少しづつムゲンからフウに触れる様になります。

ああそれからムゲンはフウの顔を悪く言った事も無いですね。
フウが話かける時も、あ?とか何だよ?といつもムゲンはジンより先に何かしら反応したり返事をします。

そしてフウに何かあるとムゲンは途端にマジになります。2話の時点で既にフウが放って置けなくなっているし、4話のようにムゲンの足ならいつでもフウから逃げる事が出来た筈なのにやっぱり気になって戻って来てしまう。

助けに戻って来てるのがもう、普通の感情では無いと思うのです。どうでもいい存在ではないから気になってしまう。
基本的に1話完結ですが、ムゲンとフウに関しては所々に伏線があり、回を跨いで伏線を回収する話がいくつかあります。

ムゲンはフウのどこに惚れたのか。
母親が亡くなってからずっと茶屋でバイトしていた事は12話で日記を見てしまったのでムゲンは知っています。でも、フウの性格は明るく元気で真っ直ぐです。親が居なくても一人で地道にバイトしながら向日葵侍の手がかりを探していた。
母親は亡くなり、父親も行方知らずというシリアスな過去がありながらも、フウはそういう素振りを一切見せず、一歩も「可哀想な私」に成り下がらない。そういう真っ直ぐさがムゲンには何か眩しいものに見えて惹かれていたのではないでしょうか。

一緒に逃げようとコザに言われるムゲンは、俺はそんな男じゃねえと断ります。過去ではムクロに「俺達には失うもんなんか何も無え。」と言われます。

「フウちゃんはムゲンと居られるから幸せ。」この会話の後にムゲンがフウの手首を掴んだのは偶然ではない。「長崎まで守ってやるだけの約束。」失いたくないものがムゲンにはあります。

コザは男に依存しているが、フウは自立している。ヤツハはムゲンを誘惑して利用したがフウはムゲンを騙したり裏切りません。サラはムゲンを攻撃したが、フウはムゲンの危機を救う。
ムゲンには持っていないフウの純粋な心と人を思いやる気持ち、そして彼女なりにタフに生きている精神的な強さが彼の心を揺さぶったのでは、と私は思いました。
だからついフウの言う事だけは聞いてしまう、絶対的な存在。指図されるのが嫌いで誰の言う事も受け付けないムゲンですが、フウには頭が上がりません。

自分の人生に絶望気味でいつ死んでも構わないという刹那的な生き方。生きていても地獄みたいなものだと言っていたムゲンですが、フウと出会って少しは希望を持てたのかも知れない。
地獄に愛され、誰にも愛された事が無いみたいと言われた彼は、自分を愛してくれる人を見つけた。最終回エンディングで1人歩くムゲンは笑っています。ムクロが言っていた「呪われた存在」なんかじゃありません。大袈裟に言ってしまえばフウはムゲンの「心の中の闇ってやつ」を照らしてくれた暖かい光のようなものです。

「なんだよ、ヤキモチか。」

私が、ムゲンはフウに恋愛感情を抱いていると思ったのは、ただ毎回フウを助けているからだけでは無く、他に「そのような」シーンが沢山あるからです。

ムゲンが唯一嫉妬を表した人物、それはジンです。フウがジンの事を気にかける度にムゲンは面白くなさそうです。フウにヤキモチと言っていたが実はヤキモチを妬いていたのはムゲンなのです。
ジンがムゲンに嫉妬しているようなシーンはありません。
女の誘いや遊郭に一人で行かずにジンと一緒に行くのは、ジンとフウを2人きりにさせたくないほんの少しの独占欲。フウを1人ぼっちにさせてまで、ムゲンは一方的にジンを連れて行く。11話だけムゲンが宿に残ったのはフウと居られるから。恋愛話があったのは11話のジンとシノさんだけです。
(※ジンはシノさんの事を惚れた女とロマンアルバムに記載されていますが、ムゲンやフウがゲストキャラの誰かに惚れているとは書いてありませんでした。)

結論として。
1話と25話を見比べてみると、ムゲンにとってフウはかけがえの無い存在になっています。

フウはムゲンを死から呼び戻し、彼のピンチを救ったただ一人の女。ムゲンも、いつもフウを助けに走り回り、彼女の為に全てを投げ出そうとしました。そして「俺を信じろ。」と言わせてしまう。この2人はお互いを特別視しています。

ムゲンは自分より、いつでもフウを優先し、頼みを聞き、最後にはフウが嘘をついていた事にすらあっけらかんとしていました。ムゲンはフウには強く出れない。惚れた弱み。

いかにフウがムゲンにとってどれだけ大切か。4話のように何となく頭の中にいて、無意識に大切に想っていたフウがいつしかムゲンの心に入り込み、命を張ってまで本気で守りたい存在になっている。女好きのムゲンが唯一手を出そうとしなかった女。

物理的な距離は遠いかもしれないが、心の距離はとても近い。
どう見たってムゲンの本命はフウしかいません。

サムライチャンプルーの恋愛はやはり、ムゲンとフウに傾いているようです。家族の様な関係?兄妹の様な間柄?うーん…どれも違う、言葉では言い表せない関係性。
お互いに淡白に見える2人ですが、ムゲンとフウは強く深い特別なもので繋がっています。
最後に。
長々とごめんなさい。ムゲンからフウへの気持ち、少しでもこの記事でご理解して頂けたら幸いです。以上の理由からムゲン→←フウ←ジンの図に見えました。ジンとフウには、特別な関係」を思わせるシーンはありません。

ムゲンとフウは一緒に笑い、喧嘩をして、守り守られ、時に嫉妬を表し、少しばかりの独占欲も混じっています。

結局2人は一緒にはなりませんでしたが、ムゲンとフウの気持ちは間違いなく両想いだと思います。
24話の河原のシーンだけでムゲン←フウ←ジンと捉えてしまう方も多いと思いますが、フウの一方通行なんかじゃなく、ムゲンもフウを想ってるシーンが沢山あるということを知って欲しかった。

サムライチャンプルーは最終的に3人が別の道を歩き、誰ともくっつかず終わってしまうので友情物語だと思われがちですが、実は男女3人のロマンスもあるんだという事も。
「ボーイミーツガール」という物語の類型があります。少年が訳ありの少女と出会い、少女の周りに起こる騒動に巻き込まれながら共に解決していき、やがて少女と恋に落ちる…という話です。
まさにムゲンとフウの出会いでしょう?

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